30年後に話すことの覚え書き

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ブリザードが来た長い夜に.

大雪が降った次の日には道路がなくなって,道路がなければ人は外を歩かない.だから,あたたかい家の中で1日くらい待っていると,誰か作ってくれた道ができるんです.その道は,何度も人が通って踏みつけた後だから,固くなってて歩きやすいんです.土と雪が混ざって汚いのを我慢しながら,それに沿って歩いたら,決まった行き先にいけるようになる.

でも,僕があのブリザードの日の夜中に見たのは,雪が降ったばかりの真っ白な街.一面真っ白で,見たこともないくらい綺麗で,いつもは見慣れた街なのに,どこに何があるのかわからないくらいなんですよ.どこに行きたいのかもわからずに足を進めると,自分が歩いた後ろに足跡ができて,未知のフィールドに道ができているんです.

そう,あの真っ白なフィールドの美しさを見たから,そして,その上に道を創る気持ちよさを知ったから,僕は今の仕事を続けてこられたんです.一番大変だと思った時に目の前にあった景色が,本当は一番美しかったんです.そういった景色が,雪に埋もれたボストンでの一番の思い出であり,学びだったのだろうと思います.

みたいな話を30年後に「私の履歴書」に書きたいと思って,気が早いけど原稿を書いちゃいました.将来,こんなスカした話をしても恥ずかしくないくらい,毎日をしっかり積み重ねたいものです.みなさん,今日も寒いですが頑張りましょう!